宝石の国1~99話 感想

ゲーム感想は批評空間のコピペなので、たまには漫画の感想などを…

先月末の無料期間で読みました。
アニメは未視聴。

ネタバレ、ネガ感想ありです。

フォス虐という事前知識はありました。
あとTwitterで、無料のおかげで地獄を味わう犠牲者が増えるとか一気読みすると鬱になるからやめれとか、いろいろ見かけたせいでハードル上がりすぎたのか、絶望というほどではなかったです。
絶望よりも、怒りのボルテージがだんだん上がっていくのは感じました。

いろんな宝石たちが登場して、それぞれバディに複雑な感情を持っているのは、ああ、みんなこういうの好きそうだな…という感想。
ただ、出た端から退場したり次の話に移ったりするので、思い入れができる暇がない。
連載はスローペースだったらしいので、リアルタイムで追っていて、何度も読み返したりキャラ考察したりしていると、後半の展開が辛いのかもしれませんね。

カンゴームやエクメアが嫌いになる人はフォスが好きだから、という意見を見たのですが、私はこの二人は嫌いでフォスも好きではないです。
フォスは実力を弁えず考えなしに突進して周りを振り回してばかりだし、シンシャに対しても不義理だし(裏切りを持ちかけた時はうわクソやんけと思いました)、 そもそも金剛を怪しんで探るのも、みんなに迷惑かけて犠牲を出してまですることかなあ、と、あんまり感情移入できなかった。
むしろ金剛をはじめとする宝石たちに同情していました。

でも金剛が宝石たちに事情を打ち明けた時に、
えっ…言うんだ…? フォスに問い詰められたときにはあんな頑なに口を閉ざしておいて…? 説明は不十分でも同じこと言えばフォスはたぶん裏切らなかったのに…?
となって、振り返ってみると、ここから私の中のヘイトの矛先がフォスから逸れていったのだと思います。

エクメアはやたら人格者のように扱われるけど、読者目線では、読者に一番近しい主人公という存在であるフォスを利用して踏みつけにしながら愛する妻()ができて幸せいっぱ~いって描写がめちゃめちゃ多いから、ずっとイライラさせられる。
はあ、エンマなんですか。で? とか。
そもそも救われるべき月人がみんな大して辛そうに見えないんですよね…人生をエンジョイしているシーンしかないし。

カンゴームも、当初ゴーストが主人格?だった時は勝手に身体を動かしてもいたわけで、ずっと呪いで苦しんでいたと言われても、もとはお前が乗っ取った側やろ…と思うんだけどなあ。
あとは、フォスに月に連れてきてもらったことを感謝するシーンでうわっとなり、以降のむせ返るようなBL臭と恋愛脳が生理的に受け付けなかった。
それまでもたまにフリフリを着ていたのは、レッドベリル関連のギャグ描写かと思っていたから平気だったけど…

月についてきた宝石たちは、エクメアとの交換条件でフォスが文字通り自分を削ってあくせくしているのに、完全に無関心なのがね。
みんな自分本位すぎる。
まあ、これはフォス自身もそうだし、それが宝石なんだよ、と言われれば、そうか…としか返しようがないですが。
フォスがみんなにちゃんと説明しなかったのと、エクメアがあえてそう仕向けたというのもあるのかな。

仕向けたと言えば、ヘイト反転のきっかけになった金剛の打ち明けシーンには、私は負のご都合主義っぽさを僅かながら感じていました。
「ご都合主義」が「作者の都合で不自然に状況が好転すること」だとすると「負のご都合主義」は「不自然に状況が悪化すること」とでも言うか…
だけども、金剛のエクメアと再会した時の反応からして、すべてエクメアがフォスが孤立するように(新しい祈り手にするため)はるか昔から仕込んでいたことだったのかなあと思いましたが、どうなんでしょうね。

金剛は、アンタークにわざわざフォスの罵倒を一言一句たがえず伝えた時には、コイツ…となりました。
絶対「結果的に私にとっては救いになった、少しも恨んではいない」とまでフォローしていないでしょ。 金剛が宝石たちへ向ける愛情は、自己都合の愛という印象があったけど(無償の愛ではなく、相手がどうなっても自分が構われて愛されていればそれでOKという感じが…)、ここは完全にそれでしょ。
しかも何でさりげに救われる側に入っているんだよ…

シンシャの「フォスいなくても全然平気、幸せ」発言は、フォスも大概だったので、しょうがないと思いました。
私はそれよりも、ユークレースが最後に言った「これもあの子の願ったことではあるよね」的な言葉が衝撃的というか、すごい突き放しに感じました。
だって、ぜったい違うじゃん…
フォスのことを気にかけているようで、実際はリーダーとしての多少の義務感くらいのもので、本心ではどうでもいいんだろうな…感がすごかった。

ここまで誰からも愛されず、ないがしろにされ続ける主人公は珍しい。
自業自得な面もあるけれど、おそらくエクメアの計画どおりでもあるし、さすがにここまで踏みにじられるほどではない…と思う…
そういう意味では、確かにこれは絶望の物語なのかな。
単行本では修正されたようですが、「誰だろう、かわいいね」がいちばん心に残ったお気に入りの場面でした。

私はかわいそうな話やバドエンものもわりと好きですが、ないがしろにされる話というのは、あまり得意ではないかも…
物語にはカタルシスが欲しいし、主人公には特別であってほしいしね。
おわり

余談
100話の無料公開が2024年9月てすごいな…
一区切りついているからいいけど…