翠の海 -midori no umi- 感想

久しぶりに。

プレイと元の投稿自体は一年前なんですが… 500円セール入りしていたことにショックを受けつつクリアしました。(10本一万セットで買った)

総評

評価:★★★★★★★☆☆☆

序盤は文句なしの100点。雰囲気を楽しみたい人向け。

テキスト

相性が良かったのかとても読みやすかったです。
ただ、モノローグはいいんだけど、会話になると微妙に引っかかるところがちらほら…
台詞に「」がないのは若干マイナス。
声がない主人公は、ぱっと見て喋っているのかいないのかがわかりづらい。

演出

これはすごくよかった!
日差しや水のエフェクト、昼夜の移り変わりはとても雰囲気が出ていました。
BGMなどのサウンド関連も○

シナリオ

記憶喪失の主人公、導き手となる少女、森の中の謎の洋館、穏やかに暮らす子供たち。楽園と幸せという、状況にそぐわず不自然でじわじわと不安を煽る言葉…
雰囲気満点で、すごく引き込まれて面白すぎてびっくりしました。
批評空間の点数低めだったから…
きっとひどいオチなんだろうな…と期待値を下げつつプレイしたおかげで、がっかり感はそこまでではなかった。

主人公を不快に思う場面は特になく、序盤プレイしていて「ん?」と思ったところは後からちゃんと補足があったり主人公が疑問に挙げたりしてくれるのが大変GOOD
物語の導入はよく作り込まれていて、ライターがプレイヤーにしっかり寄り添ってくれているのを感じた。
それだけに転・結ではそのへん投げ散らかすのが残念でした。

前半で分岐する双子の個別エンドで楽園の神秘性?的なものがいきなり損なわれてしまい、以降のシナリオほとんどが茶番に感じられてしまう。
金に物を言わせたらどうとでもなるんでね…
後半の個別エンドではやや盛り返したが、まあ、手放しで絶賛できるほどではないかな。

双子

双子であるがゆえに自分の存在意義を見失い鬱になった姉に対して「お姉ちゃんの気持ちを理解したいからお姉ちゃんの真似をして常に鏡映しのようにそっくり同じ行動を取り分身であるかのように振る舞うよ」ってえぐくないですか?
最終鬼畜妹という印象がぬぐえなかった。

主人公「双子どちらかなんて選べない>< で脱力…
私が圧倒的に空音の方が好きということもあるけど、三角関係の修羅場を匂わせておいて、双子でもそれぞれ個でありどちらにも違う良さがある、誰しもに好かれなくても誰かには好かれるみたいな話運びしておいて、そこの決断を投げ捨てちゃうか~みたいな。
でも双子の好評ぶりを見るとエロゲ的には正解なんでしょうかね。
最後にちょこっと分岐するだけでいいから双子それぞれのエンドがよかったなあ。

ずっと双子は声優別々だと思っていたから、エンド後よくよくクレジットを見てびっくりしました。

沙羅

シナリオあほらしすぎてライター違うのかと思った。
キャラゲーならアリだがサスペンスADVではやってほしくない。
沙羅に夢中で拓真のことすっかり忘れてた~テヘ☆
ないわ。
ある女の子と仲良くなった時に「○○に近付くな!」としゃしゃってくる暴力女が嫌いなのであんまり好きじゃないです。

真希奈

ヒステリーでうざいけど、まあ、そういう舞台装置なんだな、とは…
【幸せのため】
世にも奇妙な物語のようなオチでいいのではないかな。
みちるは雑処理すぎるが…
【永遠の幸せ】
ライターが完全にノリだけで作ったと思われるエンド。
なぜ唐突にループをぶっこむ…
なおスチル鑑賞のフラグ管理がミスっており、【幸せのため】を見た後にエクストラに行くとエンドスチルが先に見れてしまう。

灰奈

あざとかわいい。H中のやりとりが面白かわいくてよかった。
お風呂スチルで、ちゃんとリボンを全部外して髪をアップにしているのが素晴らしい。
エロゲ女子は頭にゴテゴテつけたまま髪ぞろびいて風呂に入るやつ多すぎ問題。
食事スチルで変な位置・変な目線のため主人公はテーブルなしで食べさせられているようにしか見えないw
金と権力で解決する癖のないエンド。

恋愛(エロ)に至る過程がいちばんやっつけに感じた。
最初から最後まで一貫して歪んだキャラとして描かれており、ご都合主義な救済もないため、大して忌避感もなく納得のいくメリバエンド。
みちるはやはり雑処理されてしまうが…

知紗

チシャってめちゃくちゃ言いにくい…
双子に媚び売ったら出られるのに…とか、本当に頭が良かったら出られるのに…とかもやもやさせられたけど、一応そのへんに答えが用意されていたのは○
デレるとかわいい。
【赤い塔】エンドわりと好きです。
じいさんの意図がよくわからなかった。十代の女性の三年もの時間を樹海で無為に費やさせてまでやること?

みちる

えらい簡単に殺すし、周りも簡単に許すなあ。
一生罪を背負って彼らを忘れずに生きていく、子供たちの解放に尽力することで贖罪するという姿勢はいんだけど(てかハピエンにするならそこしか落としどころがない)、殺害現場で懺悔したあとにその場で…などのちぐはぐさがどうにも目に付く。
そもそも新入りに対して説明不足なのが悪いと思う。
主人公にも、みんな後半でやっと諸々を少しずつ説明してくれるけど、記憶喪失でわけがわからず不安な人に過去を思い出しても言わないで誰か消えたら最初からいなかったふりするのが暗黙のルールなの説明しないけど察してね破ったら殺すねは無茶ぶりが過ぎる。
ヤキモチはかわいい。
最後は<×年後…>とか過程すっ飛ばしていいから全員に救済が欲しかった気がする。
もしくは、主人公が施設をなくすために奔走している描写を入れるとか。
みんなは囚われたまま(前向きになったとはいえ)、主人公は親の会社でリーマンやりながら、みちるとイチャイチャ新婚ごっこやってま~す なモヤっとエンド。

優希

よい友人キャラでした。
彼の過去が気になるような、詳細までは打ち明けないこのくらいの距離感が好ましいような…
女の園でずっと独り身なのも何なので、みちるトゥルーでくらい彼女を作ってあげてもよかった。あの新人でいいんじゃない。

いろは

コイツは殺人教唆しておいて何で最後に善人面してるの?
大戦犯だろ。
親から金を貰いつつ、施設の空きはできるし食費もろもろ浮くしで、会社としてはオールオーケーなんでしょうね~。かわいそうな子供も(死ぬから)減るしね~。

気になったところ

・拓真の扱い
・「楽園で殺人を犯した罪は重いわよ」「その子は誰なの?私たちは知らない」「仲間を殺した貴方を一生許さない」…オン?( ・言・) おまいうすぎる
・最初の描写から、紅茶や食事に何か盛られていると思っていたのだが…そういうのでコントロールした方が手っ取り早かったのでは。
・後半で、知紗が外に出たがっていることを主人公が当然のように知っていたけど、バッドエンドでしか打ち明けられていないような…
・救世主(笑)
・おまけシナリオは最低だなあと思いました。
贖罪エンドがトゥルーなのに殺人をギャグにしてしまうのか…
本編でみちるの罪に向き合う姿勢がいまいち真っ当に感じられなかったのは、あーはいはいなるほどライターの認識もこの程度だったのね、と…