G線上の魔王 椿姫ルート感想

無能なナナのアニメが面白かったので、FANZAの夏セールを機に買いました。
ナナは漫画も買ったけど、続きはいいかな…という感じ。ダークヒロイン的なものが読みたかったため、ナナの変化があまり好ましくない…
先輩は好きなんですが。

というのはさておき、高評価ツートップの車輪の国とどちらにするか悩んだ結果、車輪は核心ネタバレぽいのを見てしまったことがあるので、魔王を購入。
そして魔王のCVって表名は何だったかなあとググってネタバレにぶち当たりました。グギギ…

所感

ストレスが多い…!

昨今のストレスフリーなweb創作物に慣れてしまったせいか、共感性羞恥持ちなせいなのか、栄吉がすぐバレバレな嘘をついて窮地に陥ったり、主人公たちの悪事がクラスのみんなの前で暴かれたりなどはしんどかったです。
地上げの対象がヒロインのひとりである椿姫の家…というところで、おいおいおいおいストレス高まりすぎやろーとなって一休みした。

無能なナナの後の方は合わなかったけど前半はけっこう好きだから行けるだろうと思っていたのですが、椿姫エンドまでやって感じたことは、この作品はナナの私が苦手としていた部分に近い気がする…

魔王と京介

魔王パートは、これネタバレくらってなかったらどんなふうに捉えていたのかなあーと萎え萎えしながら進めていたら、案外早い段階でネタばらし来ましたね。これでようやくまっさらな新規プレイヤーになれたぞ。ちょっと安心。

でも早すぎてまださらに裏がありそうな感じがする。
椿姫ルートに進んだ時の精神科医の先生の言動が怪しいんだよね…
あと、染谷と面識があるのは…?

あとはスーツ(ブレザー?)の質感がツルツルテカテカなのが気になる。
カウンセリングルームの主人公ピチピチやんけ。

声は魅力的ではあるけど中性的では決してない…

誘拐事件

このへんやりながらデスノを思い出しました。

こういうジャンルはいかにハッタリを利かせられるか、読み手がそれにノれるか、が肝心要だと思います。
デスノートも頭脳戦でまあまあツッコミどころはあれど、美麗な絵とキャラクター性とテンポのよさで力技で押し流していった印象がある。
で、G線上の魔王はどうかなーと言うと…
うーん。

主人公の京介のキャラクターはけっこう好きなんですけどね。でもハルは少なくともこの段階では、まだそんな入れ込むほどエピソードが積み上げられていないし…

極道や音楽には詳しくないので、数々の蘊蓄にはへえーと思いながら読み進めていられましたが、誘拐事件はツッコミどころ多くて躓いてしまった。
とりあえず、シチュエーションを作り上げる過程が強引すぎるかなと。

躓いたのは、椿姫やその家族たちがハルに妙に協力的な点。
五歳の息子が誘拐された時、犯人を捕まえたいという女子高生を自由にさせたり取引についていかせたりするだろうか。ましてや黙って身代金をすり替えるなんてことを許すだろうか…
私だったら、この先の破滅を覚悟で五千万円を借り必死に駆けずり回ってやっと犯人に金を渡したと思ったら「犯人を捕まえるのは失敗したけど、すり替えておいたから五千万は無事だよ! 犯人が逆上して人質を殺しさえしなければ、また取引して犯人確保リトライできるよ!」と言われたら相手をぶん殴ると思う…
人質が無事に帰ってきた後ならいいけどさあ。まだ捕まってるんだよ?
ハルちゃんは悪くないよ、お金が返ってきて安心したよと言える椿姫一家は、人がいいとかじゃなくて、 人の心がないと思う。

そしてこの後の展開は、ブッころされてもマジ文句言えんと思うのだが…
ぽっけナイナイを疑われたりね。

普段から魔王かと疑いを向けていた主人公にコインロッカーの見張りをあっさり託すハルの行動も、かなり謎ですね。
テキストを見た時は目を疑ったわい。
もしかしたら、魔王の謎が解ける頃には納得できるのかもしれないけど…

そういうわけで、いまいちノリきれなかったです。

椿姫BAD

椿姫には、特に好きとか嫌いとかいう感情はないですね。
まあふつう。
でも誘拐事件が微妙だったから、魔王に肩入れしていったりハルを疑いだしたり、聖女のようないい子ちゃんだったのがだんだんと負の感情を芽生えさせてギスギスしていく描写はすっごくよかった。わくわくしました。
ハルに対して「探偵でも警察でもないのに誘拐事件に首を突っ込まれるのはちょっと…」と咎めるシーンは、本当にな…という感想しかなかったです。
それをあの時に言えるとよかったね。

母親が病気がちで父親は果樹園経営、学校では委員会や掃除当番やあらゆる雑用を引き受け、友達と遊びにも行かずに家では炊事洗濯掃除に幼い弟妹たち(四人だっけ?)の保育園送迎と子守と寝かしつけ、とどめは親父の酒の酌…
最後いる???
バイトで貯めたおこづかいもほぼ家のために使い、弟には高いゲームを買い与えて自分は一枚のパーカーを着続ける…

何の疑問も持たずにすべてを受け入れていた椿姫が、おしゃれに遊びに買い物にいい食事、嫉妬や疑うこと、ずるくなることを覚えて俗っぽくなっていく。
最後には毒家族から解放され、ようやく地に足がついた感じがした。
良い話だなあー。(ガチで)

椿姫一家

わたしはこれでいいんだね、広明
誰も疑わないし、お金にも興味ないし、恋愛にも消極的
それでも、わたしには、たくさんの家族がいるもんね。お父さんが買ってくれたダサいコート着るし、みんなが繁華街で遊んでるときに、わたしは公園で広明と缶ケリするの
それで、いいんだよね

その家族いる???

あんまりなセリフだったので、一週間プレイを中断してしまった。
そんな身を粉にして尽くしてもさあ、弟妹たちは姉を踏み台に思う存分青春を謳歌したのち恋人や配偶者を作って家を出ていくよ?
弟妹が自立したら今度は両親の介護、これまでそうだったように押し付けられる甥姪の世話。すべての肩の荷が下りる頃、彼女には一体なにが残っているのだろう…と、家庭板的な未来が見えてしまった。
主人公とくっつく以上はそうはならないのだろうけども。

この広明くんも叱らない育児の結果しょっぱなからクソガキ全開で、構ってほしさに夜中に徘徊するわ言いつけ聞かないわ、保育士には「このまま大人になったら困るのは本人だ」と忠告されるレベル。
五歳にして欲しいものがあったら姉の貯金箱から金をくすねるのが日常茶飯事で、「お姉ちゃんは同じパーカーを着続けたせいでボクの友達から貧乏ってあだ名をつけられたけど、ボクはそのパーカーが好きだからずっと着てて」「家お金ないの? でもお姉ちゃんの貯金箱にはお金いっぱいあったよ? だからチワワ買ってよ」などとほざく鬼畜ぶり。

父親も「椿姫は本来うっかり者だけど、家族のためにしっかりしなくちゃと大所帯を切り盛りしている」的なことを言うけど、わかっているならお前がちゃんと家の中心になれや。マジで。若い娘を犠牲にしていないで。

いやーこの家おかしいよね。
母親が病弱なのに何人も子供を作って案の定めんどうを見切れずに娘に頼っている、どころか年の差を見るに完全に長女頼りの家族計画。
GOODの最後の方で「子供部屋ひとつしかない」と出てきた時は笑ってしまった。あれだけ立ち退き拒否っておいて将来は引っ越し必須じゃん。計画性ゼロ。
増築という手もあるが…

地上げの顛末

お金は、ぜんぜんないけど、古いおうちだけど、みんながいるよ?
京介くんを家族って思ってる人が、いっぱいいるんだよ!?

つっても椿姫の家族にいっさいの魅力を感じないからなあ…

毒家族にしか見えなかったので、主人公が家族のあたたかさに触れて絆されていく…という展開は、あっそうって感じでした。

そしてその後のノリぜんぜん理解できない。
椿姫の行動はまだわかるんだけど…
生来の人の好さから事態を理解しきれていなくて、向き合って真摯にお願いすれば何とかなると考えた。でも、ヤクザ者を実際に目にしたのと、椿姫のために仕事の失敗を選んだ主人公の茫然自失ぶりに、やっと現実がわかって父親を説得にかかった。
と、解釈しました。

ここ、主人公が「悪女のふりをしてまでおれを庇って…」と感動するんだけど、いやあ、隙間風のない家に引っ越したい、貧乏は嫌だから立ち退き料もらおうって主張するのは悪女なのかなあ…ふつうの欲求だと思うけどなあ…椿姫はライターと主人公と家族に清貧を求められすぎだと思うよ。

さておき、組を裏切った主人公のもとに義父の権三が部下を引き連れてやってくる、失敗=死と散々ほのめかされていた主人公は、仁義を切る姿勢に。
わたし「ん? 指でも詰めるのか?」
主人公「ヤクザの組員になります」
わたし「えぇ~さっき裏切っておいてそんなの先方的にアリなの?」
ヤクザ「いいけど、その前にやることあるよな」
わたし「やっぱり指詰めかな…」
ヤクザ「あの家に火つけてこいや!」
わたし「しゃーなし、殺されないだけ優しいじゃん」
主人公「な、なんだと…」
わたし「???」

どうして、裏切った直後おたくの組のヤクザに正式になりますと言えば、はいどうぞと受け入れられると思ったんだろう。裏切りの対価を差し出す算段すらつけていないし…

権三は、やはり、正真正銘の悪漢だった。
小僧がヤクザ相手に血みどろになって闘い、全身全霊を込めて訴えたとしても、なんら心を動かさない。
さすがというしかない……。

いや、開幕ひとを殺してたでしょ。
実の娘を犯せというおそろしい男だとか言ってたじゃん。
私には権三は作中で表現されたとおりの人間だという認識しかないので、何で主人公は誠意で心を動かせると思ったのかがわからん…

ここまで切り札を取っておいたということは、真っ当?な解決法があったにもかかわらず、あえて情で解決したかったんだよね主人公は。
権三に普通の父親としての愛情を求めていたという描写がひとつでもあれば感想が違ったかもしれないが、なかったよね? 精神科医が「権三から父親の愛情をもらったことがないんだね」とひとこと言われたくらい?
それでそんなことやられても、うーん…?そんなにパパ好きだったの?としか…

こうやって、腹の探り合いをした挙句、お互いの利害関係を確認することでしか、わかりあえなかった。

部下たちの前で面子と大仕事ひとつ潰されたのに、机上の空論だけで退いてくれてめちゃくちゃ優しいし、良い親子関係だと思うけどね…

いままで、世話になりました(ぺこり)で解決していたら、このゲーム自体を放り投げるところでした。
誘拐事件のハルの失敗と言い、毎度「オイオイこんな展開ナシでしょ萎えるぞマジで…あっ違うのか、まあこれならぎりプレイ止めるレベルではないかな…」というプチどんでん返しが来るのだが、これはライターが意図してやっているのかどうか…

ラストのエピローグでは脱力した。
今までの話はなんだったのか…
てか結局、思い出の家はなくなるし、椿姫の家族とは暮らさんのかーい。

本気でBADの方が正史でいいと思う。
大麻はアウトだけども…

でも、「それで、いいんだよね」で愕然とさせられた椿姫ルートがやっと終わってくれて、ほっとしました。
今夏にセールでいっぱいゲームを買ったのですが、これは他と違って五百円セールでも十本一万円セットでもなく、ン千円で買ったのでギブしたくない。
次のルートは面白いことを願って…

そのほか

・娘に娼婦のあだ名と同じ名前をつけるのはやべーわ と思ったけど、もしかしてヒロインの名前は音楽縛り?
・エロシーンのちょっとしたアニメーション(おめめウルウル)は当時は革新的だったのだろうか…
・最後のエロで椿姫が突然主人公を苗字呼びするの草。仮にも恋愛ゲームなら名前呼びにはこだわってほしい。
・最後の方でいきなり生徒会長と判明したけど最上級生だったっけ。てか学級委員と兼任ってできるのかな。